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2013年7月27日〜8月25日  ■主催:新潟大学旭町学術資料展示館 ■共催:新潟市、砂丘館、旧齋藤家別邸、北方文化博物館

スウェーデン現代美術家展  ART MINERS(アートマイナーズ)


ART MINERS とは? 植物学者リンネが教授を務めたヨーロッパで二番目に古い名門ウプサラ大学のある町、ウプサラ。そこに住む一人のアーティストの呼びかけに応え、スウェーデン各地から八人のアーティストが集まり、アートマイナーズ(アートを深く掘り下げる炭鉱夫の意)を結成。日本との対話を通して、自国の文化のあり方、さらには現代を問う。

  作 家   会 場
■Kajsa Haglund(カイサ・ハーグルンド) 新潟大学旭町学術資料展示館
■サーミの呪術用太鼓(Samic Magic Drum)
サーミ(スウェーデンの先住民)の文化はスウェーデンの歴史文化の一部です。彼らの呪術用太鼓のシンボルは私たちの歴史とつながっています。それは私にとって重要なことなので、ぜひそれを日本の皆様にみていただきたいのです。私は沢山の異なる太鼓とシンボルを展示します。作品は紙にテンペラで描いたものです。


■21世紀の化石(Fossils from the 21 th century)
小さなガラス容器に入った、私たちの時代を特徴づける品物の数々。化石の材料は環境に優しい粘土岩です。私は未来に対する強い好奇心を持っています。もし遠い未来、世界がまだ存在し、人類が残っているならば、彼らは私たちの時代をどのように思うでしょうか。私たちは未来に何を残すのでしょうか。
■Henny Linn Kjellberg(へニー・リン・シェルバリ) 旧市長公舎 安吾 風の館
■再生(Re-growth)
作品「再生」は、大量の陶の小片から成るインスタレーション。
その小片のひとつひとつは手造りで、指で圧し潰して形を作るため、沢山の指の跡がついている。
戦争や自然災害のような危機的状況の後、耐え、立ち上がり、力を合わせてコミュニティーを再建する人間の力をテーマにしている。
■Gudrun Westerlund(グゥードルン・ヴェストゥルンド) 旧齋藤家別邸
■希望、闘い、死(Hope, Striving, Death)
意味で満ち溢れた言葉達、それらはいかに、人に希望を与え、考えさせ、人を良い気分にさせてくれることか。
人は、人生と闘う。
しかし、その意味が分かる前に、死が訪れる。
■Johan Fremling(ヨハン・フレムリング) 旧齋藤家別邸
新潟大学旭町学術資料展示館
■構造 ― 解体されたものたち(Structure - Dissolved)
ものは皆 はかなきもの。
ものそれ自体のもつ限界。
さらに人間が環境に及ぼす影響。
そして構造は解体され、退化する。
全体としては 小さな変化ではあるが。
Elisabet Yanagisawa Aven (エリザベート・ヤナギサワ・アーヴェン) 旧齋藤家別邸
■覆う(Vestures)
「覆う(Vestures)の心は、9段の階梯を上り、神へと至る道。
世阿弥はこれを幽玄と呼ぶ。
「十一(Eleven)」の香は、聖なる世界を祝福する道。
「触れる(Thixis)」は形を持たない心(spirit)に実際に触れることができる。
「イシス(Isis:古代エジプトの豊穣の大母神)」は蚕の繭の表面を静かに撫でる指の動き。

「イシス」→
■Peter Johansson/Barbro Westling
(ペーテル・ヨハンソン&バールブロ・ヴェスティリング)
北方文化博物館 新潟分館
■ナチュナルズ2013
(Naturals 2013)
私たちはスウェーデンで「自然な社会的行動」と考えられているものからインスピレーションを得ています。
これは日本の聴衆の皆様との出会いを想定して作った「音のインスタレーション」です。
様々な声の作り出す音は私たちと共に日本へと旅立ち、展覧会場という自分たちの場所を得て、霊(spirit)として出没したり、生きた人間となって現れたりするでしょう。
Anders Ronnlund(アンデシュ・ロンルンド) 砂丘館
■亡き父は私にネクタイの結び方を教えてくれる(My dead father teaches me how to knot a tie.)
私は今、両親と、よく話をします、多分彼らが生きていた時よりも多く。
小さなビデオ映像は私と父に関するものです。
その中で、父は私にネクタイの結び方を教えています。

■ダンス(The dance)
もう一つの作品は、粘土で出来ていて、表面に両親の「足跡」が刻まれています。
屋内では、粘土は乾燥してひびが入り、屋外では、天候によって様々に変化するでしょう。
Kersti Ragfelt Strandberg(キャステイ・ラグフェルト・ストランベリ) 砂丘館
■器(Vessels)
光と色調は、私の作品の中で最も大切なものです。
私は形と色の調和を創出したいと思っています。
この作品の中の花は、単なる花であるだけでなく、生命のはかなさと強さを表しています。
私の版画は コログラフィー技法によるものです。
■Helena Hildur W(ヘレーナ・ヒルドゥール・W) 砂丘館
■色(Colours)
色は ―匂いや音楽によく似ていて―
限りなく知覚可能で、時空を超えて感覚に訴えるものです。
この部屋の作品は、緑色の5色階と、銀、グレイ、黒の3色の調和、そして、一本の横笛から成っています。
お客様が私の作品に、いくらかの音色を加えてくださいますように。
皆様のお越しをお待ちしております。
■高見晴恵 砂丘館
■はじまり(Beginings)
私が展覧会でいちばん見せたいものは、そこに展示されているモノではない。
水面に小石を投げると波紋が広がるように、空間にモノを設置することにより、その場全体から発せられる、うつりゆくナニカである。
その場に合わせて変態しながら、淡々と、それを見せ続けてゆけたらと思う。
スウェーデン現代美術家展 in 新潟に寄せて 大野静子(美術家/スウェーデン現代美術家展企画)

 人口900万人の国、森と湖に囲まれた北欧の国、スウェーデンから、現代アートのグループ、Art Miners(新たな表現を発掘する「アートの鉱夫」という意味)が、作品をっ携えて新潟にやってきた。スウェーデンは、進取の気風に富み、ITでテクノロジーの世界をリードする国の一つだ。それはアートの世界にも反映されている。一方で、森と湖の自然環境に育まれた豊かな感性を持ち、日本の伝統文化にも親近感を寄せている。
 ストックホルムから80キロ離れた古い大学町ウプサラのアーティストたちを中心とするArt Minersは、新潟市内の各所で作品を展示する。Art Minersのメンバーは、現代アートが言葉や人種、社会の格差の壁などを取り払い、人と人が感情を通いあわせ、社会の問題を共に考え、進歩させ、世界をより良い方向に変化させると信じて、伝統的なものからIT技術まで、さまざまな素材を駆使して制作している。
 へニー・リン・シェルバリの作品「再生」は、大量の陶片で構成されている。「戦争や自然災害のような危機的状況の後、耐え、立ち上がり、力を合わせてコミュニティーを再建する人間の力をテーマにしています」
 そう語るヘニーが新潟で調達した竹を使って屋外に制作したインスタレーション「シェルター」は、人類の存在のもろさ、にもかかわらずその限界を広げ続けてきた営為を示すメタファーである。
 エリザベート・やなぎさわ・アーヴェンの作品「Nard(ナード・甘松香)は嗅覚に訴えるインスタレーションで、日本の香道を思い起こさせる。
 ペーテル・ヨハンソン/バールブロ・ヴェスティリングの作品「Naturals 2013」は音のインスタレーションである。ユーモアと怪しげな特質を持つサウンド・コラージュが自由に響き渡る。
 アンダーシュ・レンランドのビデオ映像は、亡き父に教えられたネクタイの結び方試みるパフォーマンスを通して、世代間の継承や責任を問う作品である。スウェーデンの先住民サミーの呪術用太鼓にインスピレーションを得たカイサ・ハーグルンドの絵画、もののはかなさを暗示するヨハン・フレムリングの繭のような立体も興味深い。
 今回の展覧会は新潟の歴史的な建物や庭園が会場となっている。日本の伝統の場で現代美術と出会うことにより、美術館では得られないアート体験をすることができる。

2013年7月26日 新潟日報


砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅)
〒951-8104 新潟市中央区西大畑町5218-1
TEL & FAX 025-222-2676