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2013年11月19日〜12月15日  ■主催:砂丘館(新潟絵屋・新潟ビルサービス特定共同企業体)

内野雅文 写真展 とどまらぬ長き旅の…
 

内野雅文(うちの まさふみ)
1973年東京都生まれ。96年東京造形大学造形学部デザイン学科デザイン専攻1類写真コース卒業。2008年元旦、撮影中に急性心不全にて急逝(享年34歳)。主な写真展に、96年「東京ファイル」、99年「うりずん―沖縄先島」(以上、新宿コニカプラザ/東京)、2001年「写真・内野雅文2001」(12回連続毎月写真展、ギャラリーニエプス/東京)、02年「野ざらし紀行」(銀座ニコンサロン)、03年グループ展『写真2003』「ケータイ」(つくば美術館/茨城)、「野ざらし紀行」(ギヤラリーナダール/大阪)、「空と海への巡礼」(再春館ギャラリー/東京)、04年「ケータイ 1996-2004」(新宿ニコンサロン)、05年「カガミノナカ」(コンテンポラリーフォトギャラリー/東京)、「IDOLS」(ギャラリーニエプス/東京)、グループ展『mio写真奨励賞2005入賞作品展』「A Train Window in spring」(天王寺ミオ mioホール/大阪)06年『内野雅文 photo works 1996-2006』「車窓から」「うりずん―沖縄先島」「空と海への巡礼」「野ざらし紀行」「ケータイと鏡」(以上、gallery176/大阪)、グループ展『写真の蓋然性』「ケータイ」「カガミ」「アイドル」(東京造形大大学院渋谷サテライト/東京)、07年『内野雅文 photo works 1996-2006』「アイドル」(gallery176/大阪)、グループ展『ミオ写真奨励賞フォトライブラリー』(天王寺ミオ11階ライトガーデン/大坂)がある。04年、写真集『ケータイと鏡 1996-2004』を出版。06年写真展「内野雅文 photo works 1996-2006」の図録『masafumi UCHINO:Photo Works 1996-2006』を出版。また、1997、99、2000〜05、07年度の『ヤングポートフォリオ』(主催:清里フォトアートミュージアム)において、作品がコレクションされている。

ギャラリートーク
●2013年12月1日
●ギャラリートーク
 「内野雅文 人と作品」
  
友長勇介(写真家) 
  
石井仁志 
  
聞き手:大倉宏


ギャラリートーク
●2013年12月7日
●ギャラリートーク
「ストリートスナップをめぐって」
  
石井仁志
  
松沢寿重
  
聞き手:甲斐義明
 切実さひめた深い孤独

大倉宏(美術評論家)

 
 新潟市中央区の5会場で、写真、映画などの上映、展覧イベントが同時多発的に開かれている。
 その一つ、西大畑の砂丘館で12月15日まで開催中の内野雅文写真展は、5年前わずか34歳で急逝した写真家の遺作展だ。
 内野は、国内外の若手写真家の登竜門の一つ、清里フォトアートミュージアムのヤングポートフォリオで、20代前半から、ほぼ毎年作品が収蔵された注目の写真家だった。
 会場の和室に展示された「ケータイ」は、携帯電話の普及時に町中で、その薄い板が開く個の空間に体ごと吸い込まれた、そこにいていない、若者たちを写し取ったシリーズ。旅の人でもあった内野には、日本各地で撮影した印象的なスナップや幼年時から夢中で眺めたという列車の窓を写した「車窓から」もある。一見多彩な視角を持った写真家だが、彼が意識していたという牛腸茂雄をどこか思わせるスナップショットや、子供を撮った写真を見ていると、牛腸とも、ほかの写真家とも違う、独特の熱い、切実さをひめた深い孤独を感じる。それは高度情報化の時代が急激に進展する中で、青春を生きた内野の世代が抱えた孤独だったのかもしれない。
 「ケータイ」の女たちが、時代風俗の記録とは違う感覚で見る者を揺らすのは、それらが一種のセルフポートレートでもあるからだろう。「車窓から」では美しい窓外の風景をふちどる車内の闇や人影が不思議に目にしみる。鮮明な映像が、日常の隅々にまで入り込み、個人化した時代の、肥大化した視覚の辺境や、個と個がまだばらばらではなかった場所への、強い回帰願望がそこににじんでいるせいではないだろうか。
 新潟日報情報館コンパスと20階展望室では23日から、1964年の新潟地震をテーマに、アーカイブ化された中俣正義の写真と新潟市歴史博物館みなとぴあ所蔵の小林新一の写真、新潟日報社のニュース写真が展示される。新潟大学駅南キャンパスときめいとではその中俣と小林の2人展(30日〜12月16日)を、旭町学術資料館では奥只見の金山村で、60年間村人を撮り続けた角田勝之助の写真展(12月4〜15日)を開催。県立生涯学習センターでは12月1日に中俣が山男高波吾策を主人公にした映画が上映される。
 連携企画は、新潟大学地域映像アーカイブセンターの企画、とりまとめと、映像評論家石井仁志ほかの関係者の尽力により実現した。あまりに身近で個人的なものになってきた写真を、同時代、そして過去と未来という、個を越えた空間の中で見つめ直す機会を与える好企画だ。
 なお、砂丘館では12月1日と7日の午後2時から「内野雅文の人と作品」「ストリートスナップショットをめぐって」をテーマにしたギャラリートークが開かれる。

2013年11月22日 新潟日報 掲載 


〈ケータイ〉 2002年
発色現像方式プリント 32.8×49.1cm
© Shigeo UCHINO
清里フォトアートミュージアム蔵



内野雅文写真展 「とどまらぬ長き旅の…」          
        ・・・・・企画プロデューサー 石井仁志
見えない顔                         
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大倉宏



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